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りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-1-


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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-1-

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ランバルディア大陸の西の端。
風の峡谷と呼ばれる谷の奥に、小さな村があった。
シュラ族という少数民族の住むシュラの村だ。
険しい谷に囲まれた奥地にある為、外交は極めて少なく、まるで外の世界から隠れるかのようにひっそりと暮らしていた。


「おじいちゃん、ちょっと馬を走らせてくるね」
ひとりの娘がテントから顔を覗かせた。
娘の名前はアイシェ。
この村の長老ガランの孫娘である。
幼い頃に両親を亡くし、ガランの手によって育てられてきた。
背まである長くしなやかな亜麻色の髪をなびかせ、なめらかな色白の肌に澄んだ碧(みどり)の瞳を輝かせ、唇は熟れた果実のように紅くみずみずしい。
年の頃は16。
まだまだ幼さを残すものの、ハッと目を見張るほどの美しい娘だ。

「じき陽も落ちる。そう遠くへは行くでないぞ」
「うん。わかった」
ガランの言葉に素直に頷くと、手綱を手に軽々と馬の背に飛び乗った。
華奢な体からは想像が出来ないくらい身軽だ。
「今日もよろしく頼むね」
馬の背を軽く撫でてやると、それに答えるかのように軽く嘶いた。
晴れた日に高原を馬で自由に駆けるのは、この上なく気持ちのいい極上の時間だった。
アイシェはこの時間が大好きだった。
馬と心を通わせ、風と自然と一体になれるこの瞬間。
全てが無に還り、心が洗われるようだった。


存分馬を走らせると、一息つくために泉に立ち寄る。
馬に水を飲ませそっと背を撫でてやると、嬉しそうに体をすり寄せてきた。
足を折り泉の側に腰を降ろすと、アイシェも馬に身を預けるように足を投げ出す。
サラサラと湧き出す泉の水が風にそよぎ波紋を作る。
心地よい空気がアイシェの眠りを誘う。



と。
「ヒン…」
ふと、何かを感じたように馬が頭を上げた。
空気が濃くなった、そんな気がした。
「何?」
アイシェが顔を上げた時だった。
「…きゃぁっ!!」
背後から腕を掴まれる。
「何するのっ!?」
そう言って掴まれた腕を振りほどこうとした時だった。
「────ぐっ…!!」
口を布で塞がれた。
当てられた布からは、嗅いだことのない異臭が鼻をつく。
嗅いではいけない、危険な香りがする…。
そう思うのに、力が入らない。
頭の芯が朦朧とし、意識が闇の中へ引きずられていく。


(────おじいちゃ…ん…)

ドサッ!!
アイシェはその場に崩れ落ちた。



     
□ □ □



────頭が痛い…。


鈍い頭痛と体の重さにゆっくりと目を開けると、土壁の古い天井が目に入った。
ところどころ朽ちて薄汚れ、隅にはくもの巣が張っている見たことのない天井。
「…ここ、は…」
ぼんやりと辺りを見渡す。
だんだん意識が冴えてくると、自分の置かれている状況が見えてくる。
確か湖で何者かに腕を掴まれ、布にしみこまされた匂いを嗅がされて…。
よく見ると、腕にうっすらと掴まれた指の跡が残り、その腕は身動きが取れないように後ろで、きつく縛られている。

「大丈夫?気がついた?」
突然、頭の上から声がした。
ビクリと身を硬くし、ゆっくり体を起しながら声のした方を見上げる。
そこには、すぐ側で心配そうに覗き込む少女の姿があった。
「…あなた…誰?ここは、どこ…?」
「あたしはセイラ。あんたと同じで、あたしも捕まったの。
勝手な予想だけど、ここはさしずめ商人か盗賊のアジトってところかな?」
「盗賊…」
「あんたは?」
セイラと名乗った少女は、好奇心に目を輝かせてアイシェを覗き込んだ。
年は2つ3つ、上といったところだろうか。
少女らしい愛らしさを持ちながらも、どこか落ち着いた雰囲気の少女だ。
特別美人というわけではないが、整った顔立ちをしている。
「…私はアイシェ。シュラの村に住んでるの」
「シュラの村?」
「うん」
「聞いたことのない名前だね」
「そうなの…?」
「ああ。初めて聞いたよ。あたしはラスラから連れてこられたんだ」
「ラスラ…?」
アイシェは聞いたことのない名前に首をかしげた。
「知らない?」
セイラの問いにアイシェは静かにうなずく。
「ランバルディア大陸の商業都市ラスラっていったら、すごく有名なんだけど…」
「商業、都市…?」
アイシェは少し困ったように首を傾げる。
自分の住んでいる大陸がランバルディアだというところまでは分かる。
だが、商業都市だのラスラだの言われても、ピンとこない。
アイシェが知っているのは、生まれ育ったシュラの村だけなのだ。

「世間知らずなところをみると、どこかの貴族か何かかい?確かに整った顔をしてるけど…」
セイラはマジマジとアイシェを見つめた。
化粧っけのない幼い顔立ちだが、よく見るとそこらへんの娘とは違う雰囲気を身にまとっている。
あと数年経てば、あどけなさが抜けて美しい女へと成長するであろう美しい顔立ちをしている。
だがそれに反して、身なりは質素で、そこらの村娘の格好よりも劣る。
「…私、村をほとんど出たことないから…」
アイシェは恥ずかしそうに顔を赤らめて、下を向いた。
商業都市やラスラの名前を知らないのは、そんなに恥ずかしいことなのだろうか…。
アイシェはぼんやりと考えた。




>>To Be Continued
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