RS FANTASY

りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-2-
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-2-

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世間を知らないアイシェに、セイラはいろいろな話をしてくれた。
お人好しで、話上手なセイラはいろんな事を教えてくれる。
海の話や街の話、今まで出合った人の話。
彼女から聞く話はどれも新鮮で、アイシェにとってワクワクするものばかりだった。


「…私達、これからどうなるのかな…」
ふと、アイシェが不安げに言葉を漏らした。
「たぶん、どこかに売られるんだと思う。貴族とか、商人の屋敷とかに。そこで死ぬまでこき使われるんだ」
いい方になんて考えていなかったけれど、実際に口に出されるとショックを隠せない。
「…何とかして、ここから出られないの?」
セイラは部屋を見渡す。
地下にある部屋は窓ひとつない。
入り口に分厚い鉄格子の扉が、重々しく存在しているだけだ。
その扉にも外から頑丈に鍵がかけられている。

「この部屋では無理ね。それにこの状態だし…」
セイラは肩をすくめた。
ふたりの腕は後ろできつく縛られている。
まずこれをどうにかしなければ、状況は良い方には進まない。
縄を解くことから考えなければ。
「ま、成るようになるよ。」
セイラはアイシェを励ますように、穏やかに笑いかけた。
「…セイラさんって、前向きなんだね」
「人生は一度しかないからね。前を見なきゃ、損、損!!」
そう言ってウインクをする。
「それに、前向きに運命を受け入れないと、仕事なんてやってられないよ」
「仕事?」
「そ。あたしは占いの仕事をやってるの。ラスラの占い師セイラっていったら知らない人なんていないよ?」
セイラはふふっと笑う。
「アイシェも占ってあげようか?」
そう言って不思議そうな顔をしているアイシェのすぐ側までくると、コツン額を合わせた。
セイラから花のようないい匂いがする。
「本当なら水晶玉で占うんだけどね、こんな状況だから」
額を合わせたまま、セイラが苦笑する。
「でも本当はこうやってこうやって、直接占う人に触れるほうがよくわかるの」
そう言って瞳を閉じた。
アイシェのいろいろな気がセイラの中へ流れ込んでくる。


「────アイシェ…、あんた…」
「何?」
アイシェが不安そうに見上げた。
「……あ、いや…」
「何?何が見えたの?…言いかけて、やめないで」
懇願するような不安げな瞳が、セイラを捕らえた。
憂いを帯びた翡翠の瞳に吸い込まれそうになる。
セイラは溜息をついた。
「…いいかい、アイシェ。
この事件を期に、あんたを取り巻く世界のすべてが変わるよ。アイシェがこれまで生きてきた人生とは、全く違う人生が待ってる…」
「私の人生が…変わる?」
「そう。その先の未来までは見えないけど、ここに連れて来られた時点で、あんたは望んでも望まなくても、運命の扉を開けたことになる。新しい世界が待ってる」
そう言ってセイラは、ゆっくりとアイシェから額を離した。
「新しい世界…」
セイラの言葉を繰り返した。
不安が滲み出ている。
「どんな人生でも、それは自分の人生だよ。楽しく強く生きなきゃね」
「こうやって捕まっていることも?」
「そうだよ。だってここに捕らわれなかったら、あたしとアイシェは出会うことはなかったでしょう?何でもプラスに考えなきゃ」
「セイラさんて、すごいな…」
アイシェは感心したような声を上げる。
「セイラさんに言われると、何でもプラスに思えてくる」
「でしょ?…っていうか。すべてはジェイの受け売りなんだけどさ」
「ジェイ?」
「あたしの幼なじみでさ、ラスラの下町でトレジャーハンターをやってる」
「トレジャーハンター…?」
「古い書物を調べてね、遺跡や神殿なんかを巡ってそこに眠る古い歴史や宝の発掘をしてるんだ。まぁわかりやすくいえば、お宝探しのプロってとこかな?」
「へぇ…」
初めて聞く職業に、アイシェは興味津々で聞き入った。
「結構いい奴でさ、これがなかなかの男前!ま、黙ってればの話だけど」
そう言って笑う。
ジェイの事を話すセイラは、とても幸せそうだった。
顔を赤らめ、嬉しそうに話す姿はとても微笑ましい。
「セイラさんの恋人?」
「!?まさか!!」
セイラは顔を赤らめ、思い切り首を横に振った。
「だって。“ジェイ”の事を話してるセイラさん、とっても嬉しそうだもの」
「だから違うって。そんなんじゃないよ。
…ただ…」
「ただ?」
「…あたしにとっては、すごく大事な人なんだ…」
セイラは少し遠くを見つめるようにそう呟く。
「…その人のことが、好きなんだね」
こんな風に人を好きになれるのは羨ましい。
いつか自分も幸せそうな笑顔で好きな人のことを話す日が来るのだろうか。
ぼんやりとそんな事を考える。


と。
ガシャンガシャンッ!!
乱暴に鍵が開けられる音がし、鈍い音と共に扉が開いた。
アイシェとセイラは一瞬身を強張らせる。
「ほらっ、ここでおとなしくしてろ!」
そう言ってひとりの女が放り込まれた。
部屋に入った事を確認すると、また重い扉を閉め鍵がかけられる。
女は放り込まれた時に頭を打ったのか、ピクリとも動かない。
「大丈夫ですか?」
見張りの足音が遠ざかるのを確認してから、アイシェとセイラはその女に駆け寄った。
「どうしよう、セイラさん…」
アイシェが心配そうにセイラを見上げたその時だった。

「────うまくいったな。」
女は先ほどまで死んだように瞑っていた目を開き、むくりと起き上がった。
そしてこちらを向くと、
「無事か?セイラ」
そう言って、口の端を持ち上げた。
「…ジェイ?」
セイラが小さく呟く。
「遅くなってごめんな、ちょっと準備に手間取ってしまって。でもオレが来たからには…おおっと!」
そう言って笑うジェイにセイラは思い切り飛びついた。
両手を縛られていて抱きとめることができず、ジェイはバランスを失う。
「なんだよ、セイラらしくないな」
「…らしくないって何よ。…ジェイの、バカ…っ」
「助けに来てやってるのにバカはないだろ、バカは」
ジェイは苦笑する。
「…こんなところまで来るなんて、ジェイはバカよ…。でも、ありがとう……」
セイラはジェイの胸の中で、そう言って何度も呟いた。




>>To Be Continued
| LOVE PHANTOM 第1章 | 11:29 | comments(2) | - |
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| - | 11:29 | - | - |
おはようございます!!
「春を待つ君に」を一応更新されている分まで読み終えましたので、今回はこちらの「Love Phantom」を読ませてもらいました。
この物語は、異世界ファンタジー恋愛物なのですね。自分は、このような設定の物語は大好きです。
村から旅に出る途中、盗賊たちに捕らえられてしまったアイシェさん。果たして彼女を今後、どのような運命が待ち受けているのか
今後の展開が気になるところです
| | 2007/12/20 09:23 |
*要さんへ*
こちらにも足を運んでいただき、ありがとうございます。
要さんの小説の傾向からも、こちらのおはなしの方が好みではないかなと思います。
いつもコメントをいただいているのに、なかなかご挨拶に伺えなくて申し訳ないです。
LPは恋愛傾向の強いファンタジーです。また楽しみに読んでいただけると嬉しいです。
| りくそらた | 2007/12/20 09:45 |









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