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りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-4-
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-4-

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長い地下の廊下を進み、何度か階段を上がる。
そこはまるで入り組んだ迷路のように、入り混じっていた。
それをジェイは迷うことなく確実に進んで行く。
もし仮にアイシェとセイラが抜け出せていたとしても、この迷宮のような地下道は抜け出せなかっただろう。
アイシェは羨望の眼差しでジェイの背中を見つめた。



(おかしい…)

淡々と道を進みながら、ジェイはそんな風に考えていた。
来る途中で細工はして来たものの、あまりにも人の気配がなさすぎる。
多少の戦いは避けられないことを予想してきたのだが、こうも誰にも合わずというのは不自然すぎる。
「ジェイ?どうしたの?」
そんな様子に気づいて、セイラが心配そうに声をかけた。
「いや…」
足を止め、何かを考える。
「何か…武器になるものを調達しておいた方がいいかもしれない」
「え?」
アイシェが不安そうにジェイを見上げた。
「逃走が楽なようにと少し細工はしてきたつもりなんだが、あまりにも人の気配がなさすぎる」
「……」
その言葉にふたりは黙り込んだ。
「もしかしたら…」

     
────罠にはまったかもしれない。


その言葉を飲み込んだ。
不用意なことを言って怖がらせるのはこの場では不利だ。
恐怖は武器にはならない。
もっとも。
長い付き合いで、セイラの方は言わんとすることに察しがついているようだ。
何やら考え込んでいる。

「あんた、何か武器が使えるか?」
アイシェを振り返る。
武器なんてほとんど持った事がない。
村の男達は狩に行くために弓や剣を手にするが、女のアイシェはそんな物とは無縁だ。
持ったことあがるといえば料理に使うナイフぐらいだ。
「…私は…」
アイシェが口を開きかけた時だった。








「───ジェイ」


セイラに呼ばれた。
それと同時に、ジェイの襟元を両手で掴みセイラは自分の方に引き寄せた。








「────っ!?」


一瞬、何が起きたかわからず、頭が真っ白になった。
目の前にはセイラの顔があり、唇にセイラのそれを強く押し付けられた。
セイラの柔らかな唇の感触が重なったそれから、伝わってくる。





「あ、あのっ!!!」


アイシェが大きな声を上げた。
「私…、その……何か武器に使えそうなものを探してくるねっ!」
この場にいてはまずいと思ったのだろう。
逃げるように、アイシェがその場から立ち去った。
その声でジェイは我にかえり、自分に置かれた状況を理解した。
「セイラ!」
セイラの肩を掴んで引き離す。



「どういうつもりだ?」


「…好きよ、ジェイ。ずっと好きだった…」




セイラは今にも泣き出しそうな瞳でジェイを見上げた。





「何で今、そんな事を……」
溜息混じりに言葉を吐き出しながら、ジョイは辺りを見渡す。
アイシェの姿が見当たらない。
こんな状況でひとりになるのは危険だ。
早く探しに行かなくては。
気持ちの逸るジェイの腕をセイラがきつく握った。


「逃げないでよ、ジェイ!」
「こんな時に何言ってんだよ! 今は…」
「こんな時だからよ! …こんな時だから言うの。
ここに捕まった時に思ったの。どうして今まで気持ちを伝えなかったんだろうって…。すごく後悔した。まさかまた会えるなんて思わなかったから。もしまたジェイに会えたら、今度こそ言おうって決めてたの。今のご時世、何があるかわからないから、言えるときに言っておきたかったの」
女の側からあんな事をするのは決死の覚悟だっただろう。
軽い気持ちではないことは、ひしひしと伝わってくる。
「……でも、オレは…」
ジェイは目をそらした。
真剣な気持ちだからこそ直視できない。

薄々はセイラの気持ちに気付いてはいた。
幼なじみでもあるセイラとは長い付き合いだ。
ジェイにとってセイラはとても大事な存在ではあるが、長くいすぎて家族のような存在になっていたのだ。
それ以上には思えない。



「セイラ、ごめ───」
言いかけた唇にそっと手が当てられた。
「言わないで。聞きたくない」
静かに首を横に振る。
「伝えたかっただけだから。ちゃんとジェイに知っていてもらいたかった」
「セイラ…」
「でも…。もし無事にここを出られたら、少しは考えて?」
そう言って笑う。
ジェイは仕方なく苦笑した。


「じゃあ、あいつを探しに…」
「待って!」
腕を掴まれる。
「何だよ」
早くしないと見つかる可能性がある。
アイシェが側を離れてから、妙な胸騒ぎがするのだ。
「…言っておきたいことがあるの」
セイラは先ほどとは違った真剣な眼差しでジェイを見つめた。
「あの子の…アイシェに見えた未来────」





□ □ □



アイシェはふたりから見えないところまで離れると、壁に体を預けて大きく息を吸い込んだ。
「はぁあああ…」
力が抜けたようにずるずるとその場に座り込む。
「びっくりしたぁ…」
頬を手のひらで包み込んでため息をついた。
「セイラさん…本当にジェイのことが好きなんだ…」
彼女の覚悟は見事だった。
人のキスシーンなんて初めて見た。
体が熱くてしょうがない。
「ふたりがうまくいくといいな…」
そしていつか自分も他の誰かと────。
そんな夢見がちな目で空を仰ぎ見る。
「誰がうまく行けばいいって?」
「!!」

(しまった────!)

そう思った時には、すでに遅かった。
喉元に鋭い剣先が向けられる。


「さて、一緒に来てもらおうか?」


そう言うと男は、アイシャの腕を力任せに引き上げた。



>>To Be Continud
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