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りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-5-
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-5-

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「────何だって…?」
ジェイは目を見開いてセイラを見つめた。
「あたしが見たあの子の未来は、黒い霧のような闇に包まれていたの…」
セイラは静かに頷く。
「あんなの初めてだった。何か不穏な気があの子の行く先を覆い隠すかのように渦巻いていた。ジェイ、あなたのとよく似てる…」
「………」
「とてつもなく大きなものが、あの子の背後でうごめいてる。その大きさは、あなたの時以上だわ」



ジェイも以前、セイラに占ってもらったことがあった。
その時、似たような事をいわれたのだ。
もともと占いや予言などのたぐいは全く興味がない。
むしろ嫌いな部類だった。
それによって自分の未来や行く先を縛られるのは、まっぴらごめんだ。
自分の未来は自分で切り開くものだ、ずっとそう思ってきた。
だがそれとは裏腹に、セイラの先見はよく当たる。
それが100パーセントでないにしろ、必ずどこかでつながっている。
ずっと先まではっきりと見えるというわけではないらしいが、その人の少し先がぼんやりと見える。
それを信じるか信じないかは個々の自由だが、それを頼りに生きるのはジェイの性分には合わなかった。

「────あの子を探そう」
胸騒ぎが治まらない。
詳しい話はここを出てからでもできる。早くここから離れた方がいい。
ジェイは逸る気持ちを押さえつつ立ち上がった。






「その必要はないぞ」
「!!」
突然の声にふたりは弾かれたように顔を上げた。
それと同時、セイラが悲鳴を上げた。
「アイシェ!!」
嫌な予感というものは当たるものだ。
剣を喉元に突きつけられ、引きずられるように捕らえられているアイシェの姿が視界に飛び込む。
「動くなよ? 動くとどうなるかぐらいは、わかっているだろう?」
男はなおもアイシェの喉元に、剣を突きつける。
少しでも動くと鋭い剣先が喉元を引き裂きそうだ。



「セイラさん…ジェイ…ごめんなさい……」

翡翠の瞳が苦痛に歪む。
「くそっ」
ジェイが吐き捨てるように呟いた。
男が軽く合図をすると、奥からバラバラと男達が出てきて回りを取り囲んだ。
「お前達の脱走に、気づかなかったとでも思っているのか?」
馬鹿な奴等め、と。
口の端に笑みを浮かべながら男が言った。
取り囲んだ男達は、じりじりと間合いを詰めてくる。


「さて。こんな状況でなんだが、取引をしようじゃないか?」
「取引、だと?」
ジェイは妙な提案に眉をひそめた。
「取引になるようなものは、何も持ち合わせていない…」
ジェイはチラリとセイラを見やった。
セイラが何かを察して頷く。
「物ではない。人だ」
「人?」
「以前、お前へ使者を送ったはずだが…見事に断ってくれたそうだな」
「使者?」
ジェイは眉根に皺を寄せて考え込む。
ふと記憶をよぎった人影。



「…お前ら、あの時の…!」
「覚えていてくれたようだな」
男がにやりと笑う。
「リーダーがお前の腕をたいそう買っていてな。ぜひとも力を貸してほしいってことだが?」
「…何を言ってるの?」
セイラが不安げにジェイを見上げた。
「こいつらアサシンだ」
「アサシンって…」
「殺し屋の集団だよ」
セイラは絶句した。
まさかそんな話があったなんて、全く知らなかった。
気付きもしなかった。
ジェイは昔からあまり自分の事を話したがらない。
「しかも送り込んだ仲間をすべて返り討ちにしてくれたそうだな?」
男はジェイを見下ろし吐き捨てるように言った。
「…まぁ、済んでしまったことは仕方がない。例の話を引き受けてくれるのなら、そこの女は無事に帰してやろう」
「お前らまさか…その為にセイラを───」
「だから言っただろ? “取引”だって。お前が乗り込んでくることは、想定外だったが。こっちがわざわざ出向く手間がはぶけて助かったぜ」
ジェイは怒りに震える体を押し殺すように、拳を握りしめた。

セイラを攫ったのは、若い娘を攫って売り飛ばす事を商売にしている盗賊の集団ではなかった。
自分との取引の為にセイラは捕った。
いわば取引の為の道具であり、人質だ。
勧誘に来た男達をことごとく追い返す事で、あきらめたと思っていたがそう簡単ではなかったらしい。
平気で汚いことに手を汚す集団だ。
自分は決してまっとうな人間だとは思わないが、この男達と比べればずいぶんマシに思えてくる。





「────じゃあアイシェは、何の為に捕まったの?」


セイラが聞いた。

そうだ。
男はセイラは無事に帰すと言ったが、アイシェのことには触れていない。
そもそも、ジェイとアイシェは無関係だ。
「人の心配をするよりも、自分の心配をしたらどうだい?」
男が不敵な笑みを浮かべた。
「こいつは別件だ。お前らには関係ない。
大体この女とは、知り合いでも何でもないだろ? どうなってもいいはずだ」
男は後ろからアイシェの下あごを掴んで、厭らしそうな笑みを浮かべて耳元に唇をつけた。
「イヤ…ぁっ!!!」
アイシェから小さな悲鳴が上がる。
男から逃れようと身をよじるが、びくともしない。
生暖かい息が耳元にかかり、鳥肌がたった。
「こっちの件はなぁ、お前らなんかと格が違うんだよ」
男はなおも肌の感触を味わうかのように、首筋に唇を這わす。
まるで虫が体中を這い回るかのような気持ちの悪い感覚に、アイシェは吐き気がした。
「くそっ…!!」
ジェイは拳を強く握りしめ、もう一度セイラを見た。
セイラが大きく頷く。







「さぁ。返事を聞こうか?」


男がアイシェから唇を離し、にやりと笑った時だった。


「うわぁぁぁぁぁっ!!!」
すぐ隣にいた男が火だるまになった。
「何事だ!?」
突然の出来事に男の気が緩んだ。
それをジェイは見逃さなかった。
すかさず男の背後に回り込み、思い切り背中に拳を喰らわす。
「ぐあっ!!」
男はバランスを崩しその場に倒れこんだ。
その隙に男から剣を奪い取り、アイシェを男から引き剥がした。
「…ジェイ!」
「平気か?」
その問いにアイシェが力強く頷く。
「俺の後ろに隠れてろ。離れるなよ?」
そう言ってジェイはアイシェを背に庇った。
華奢なアイシェに戦力は期待できない。
それなら捕まって足手まといになるよりは、自分の後ろに庇っている方がよほどマシだ。
そう考えての判断だった。


「大丈夫。私、やれるから────」


背後から予想外の言葉が返ってきた。
「もう容赦はせんぞ!!」
首謀者の男が体制を立て直してよろよろと起き上がり、アイシェに振りかぶった次の瞬間。



「うわぁぁぁぁぁっーーーーー!!!!」
寸前で術が弾けた。
男が緑の炎に包まれて悲鳴を上げる。
「────!?」
ジェイが驚いたようにふり返った先で、アイシェが小さく肩で息をしながらにこりと笑う。
「少しだけど、使えるの」
男を包んだ強力な緑色の炎は、間違えなくこの少女から放たれたものだ。
その威力はかなりの力。
華奢な体のどこにそんな力があるのか、想像すらできない。
「まだいけるか?」
「任せて」
アイシェはにこりと笑うと、ジェイのすぐ側まできていた男に次の術を放った。
男がまた緑の炎に包まれる。
ジェイはアイシェの素早い対応に目を大きく見開くと、
「たいしたもんだ」
勝利を確信して、にやりと笑った。




>>To Be Continued




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