RS FANTASY

りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-6-
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LOVE PHANTOM第1章 運命の扉-6-

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そこから3人の反撃が始まった。

男達をセイラの炎の波が包み、そこをジェイの剣がすかさず突く。
セイラの術は致命傷を与えられるほどの威力はないが、後方の援護としては十分なものだ。
一方、アイシェの方は見事に完成した術を次々に男達にぶつけていく。
見たところ大地の守護を受けた術のようだ。
確実で、威力も大きい。



(凄いな…)

細く小さな体のどこからあんな力が出るのか、正直ジェイは驚かずにはいられなかった。
ジェイも多少は術が使える。
属性は『風』。
しかし、なれない術を使うとすぐに息が上がり体力に限界がくる。
アイシェのように連続しての使用は、到底無理だ。
正直、アイシェには戦力としての期待をしていなかった。
剣を使えそうな体格でもないし、術を使えたとしてもたいした威力は期待できない。
使えたとしても女性がよく使う簡単な治癒術ぐらいで、戦闘においてはほとんど戦力にならない。
そう思っていたのに。
その考えは見事に覆された。
アイシェの術は予定外の戦力だ。
「これならいける────!」
ジェイは勝利を確信して、にやりと笑った。







────予定外だ。

そう思ったのはアサシン側も同じだった。
まさかここまでやれるとは想像もしなかった。
男の方は上が人質を捕ってまで欲しがる人物だ。ある程度の覚悟はあった。
しかし女2人は予定外だ。
特に小柄な娘のほうは予想を遥かに上回る術の使い手。
何とか体制を立て直さなければ、壊滅は免れない。




ジェイはひとり、ふたりと立ち向かう男達を倒していく。
ひとりの男が猛突進で剣を振り上げる。
素早くそれに対応し、剣を交わし脇に拳を喰らわせる。
その時だった。
はじめにアイシェを人質に捕っていた男が炎に包まれ、朽ちた体を引きずって大きく剣を振り上げた。
じっと横たわりチャンスを伺っていたのだ。
「危ないっ!」
アイシェが悲鳴を上げた。
術を試みるが間に合わない。
「チッ!!」
ジェイは体制を立て直そうと剣を持ち直すが、間に合わない。
剣が振り下ろされるのが見え、痛みを覚悟した。


その瞬間。








「───ジェイっ!!」


声と同時に何かに思い切り突き飛ばされた。










一瞬、何が起こったのかわからなかった。
激しく床に叩きつけられ、頭をぶつけた。
アイシェの悲鳴が聞こえ、それに反応して体を起し素早く剣を握る。
信じられない光景にジェイは目を見開いた。







「セイ…ラ……?」


目に飛び込んだのは、無残な状態で転がっているセイラの姿。
背には剣が深く刺さり、そこからとめどなく赤い血が流れ床に血の海を作る。
「セイラさん! セイラさんっ!!!」
アイシェが駆け寄って声を上げ、何度も名前を呼ぶ。
ジェイは目の前が真っ白になった。
ただ呆然と立ちすくむ。


「チッ。女の方か…」
男はよろよろと立ち上がり、吐き捨てるように言った。
その言葉でジェイははっきりと目が覚めた。






「────貴様っ!!!」



アイシェは風を感じた。
閉鎖された地下には決して吹き込むことのない、天然の風の匂い。
ハッと振り返る。

(───ジェイだ)

風はまるでジェイの体の中から湧き上がるように吹き出していた。
それはだんだん強く大きくなり、風の球体がジェイを包み込んだ。
怒りに大地が震えている。
そんな感覚に飲み込まれた。
「アイシェ、セイラを連れて逃げろ」
「でも…っ」
「いいから、行け」
その言葉にアイシェは首を横に振った。
「…ジェイを置いて行けない。私は、大丈夫だから」
アイシェが小さく何かを唱えて地面に手を当てると、ほのかに光が浮かび上がった。
柔らかで眩い光が球体となって、ふたりの体を包み込む。




(守護陣か…?)

先ほどまで見ていたアイシェの術力なら大丈夫だろう。
ジェイはその様子を確認すると、男に向きなおり気を集中した。
「…な、何だ…!?」
男は異様な気配を感じ体を強張らせる。
他に残った者達もただならぬ気配を感じ、おどおどと周りを見渡した。


───来る!

アイシェはセイラを膝に抱きかかえると、強く抱きしめて瞳を閉じた。









一瞬だった。
ジェイが手を振り下ろすと、風の球体はものすごい爆発を起した。
そこに存在したものは人も物もすべて真空に切り刻まれ、一瞬で跡形もなく消滅した。
術を放った本人と、守護陣に守られた二人を残して。




「────セイラ…っ!!!!」
ジェイはセイラに駆け寄る。
アイシェの腕に抱きかかえられたセイラは、ぐったりとしている。
アイシェがゆっくり頭に手をかざすと、ぼんやりと淡い緑の光がセイラへと注ぎ込んだ。
「…治癒も使えるのか?」
「少しなら…」
アイシェが小さく笑う。
額に汗が浮び、術を使うのはかなり辛そうだ。

無理もない。
休む間もなく強力な術を使い続け、守護陣まで張ったのだ。
もともと術を跳ね返す陣は、放った術よりも強い力でなくては防ぐことができない。
要するに、ジェイが放った術よりもアイシェの術力の方が明らかに強いということになる。

(彼女は一体…───)

疑問は山のようにあったが、今はそれどころではない。
今は、アイシェの治癒術に頼るしかないのだ。




「……ジェ…イ……」
腕の中でセイラがゆっくりと目を開けた。
「よかっ…た…。無事…だったん…だ…ね…」
「セイラさん、しゃべらないで。今───」
「こうなる…事は…知ってた…。星の、定…だったんだ…よ」
セイラはアイシェの言葉にゆっくりと首を横に振った。
「馬鹿なことを言うな…っ!!」
ジェイがセイラを抱き上げた。
「すぐに助けてやるから。もうしゃべるな!」
「うう、ん…。いい…の………こうなること、わかっ…て…た、から……」
「セイラッ!!!」
弱弱しく震える手が空へと伸ばされる。
何かを探すように彷徨う手を、ジェイは強く握り締めてやる。
セイラが微かに笑った。







「…ジェイ、今まで…楽しかっ…た……。これから、は…あな…たの、思うように…生き……て……」



掴んだ手がゆるゆると力を失くし、むなしく宙を切った。
パタリと手が地面に落ちる。








「セイ…ラ…?」


体を揺する。
でもその目は決して開くことも、ジェイを見つめることもない。






「セイラ…?



セイラーーーーーーーーーーっ!!!」



ジェイの悲痛な叫びが、崩壊した地下中に響き渡った。



握った手が冷たくなり、顔から色が消えていく。
まるで命の炎が消えていくように。






>>To Be Continued




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