RS FANTASY

りくそらたのファンタジー小説おきば。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
LOVE PAHNTOM第1章  運命の扉-9-
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

LOVE PAHNTOM第1章 運命の扉-9-

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


その夜、ジェイは船内にある小さな酒場で飲んでいた。
アイシェをひとり残してくるのは少々不安だったので、眠るのを確認してからそっと部屋を出てきた。
眠ってしまえば大丈夫だろう。
グラスに注がれた麦酒を片手に手をゆする。
半分ほど残った酒がゆらゆらとコップの中で揺れて波紋を描く。
それをぼんやりと見つめながら、ジェイは昼間のアイシェの顔を思い浮かべていた。



「私も連れてって…か…」

一瞬、ドキリとした。
何も考えてなさそうにみえて、勘が鋭い。
セイラが理不尽な死に方をしてから、ジェイはずっと心に決めていた。
あんな死を与えた奴らを絶対に許さない───と。
復讐を心に決めていた。
でもその気持ちを決して表には出さないようにしていたのに、アイシェはそれを感じ取ってしまった。
ジェイはため息をついた。


アイシェは不思議な少女だった。
小さな体からは想像できない強大なラグナの力を持っている。
アイシェの手からは、いともたやすく術が生み出されていく。

“ラグナ”とは、万物に宿るといわれる無形の要素のことだ。
この世界全土の社会はラグナの存在を前提として考えられている。
ゆえに人に限らず、生あるものは生まれたときから何らかのラグナを持ち、それをうまく用いることで生活してきた。
ラグナは本来6つのエレメント(属性)に分けられ、ラグナにその属性を宿すことで術や治癒法を使える。
しかし誰もがラグナによって術を使えるわけではなく、術として使えるのは強いラグナ(術力)と意志を持ったものだけ。
限られたごく一部の人間のみだ。
そんな希少価値の高い術をアイシェは軽がるとやってのけた。
熟練された術師や賢者でもなく普通の少女が、だ。
セイラやジェイも多少なりには術として使うことはできた。
しかしそれは非常に珍しい事で、自分達以外にそれをやってのける人間を初めて見た。
しかもはじめがあれだ。
アイシェの使った術は相当なもので、ほとんどが補助術ではなく完成されたものばかりだ。
ラグナを術として使用するには、かなりの体力を消費する。
しかも完成度が高いほど、消耗は激しい。
ラグナを鍛えることによって連続して使用したり威力を増したりは出来るようになるが、それでも体力の消費は間逃れない。
完成させたラグナを連続して使用し、それによってほとんど体力が消費されないということなど、本来ではありえない。
アイシェはそれを軽々とやってのけたのだ。
熟練の賢者や聖職者でもないただの小さな少女が、だ。
「ありえねぇ……」
ジェイは額に手を当て考え込んだ。


風の峡谷に守られ、外界から阻まれたシュラの村で生まれ、両親を早くに亡くしたというアイシェは村の最長老であり族長のガランに育てられた。
天真爛漫で好奇心旺盛。
自然をこよなく愛し、純粋無垢な性格。
一見どこにでもいるような少女なのだが、容姿はかなりの美少女だ。
ジェイは大きくため息をついた。
初めて見た瞬間、思わずアイシェに目を奪われ、言葉を失くした自分を思い出した。
(くそ…っ。セイラがあんな事になった後だってのにオレ、何考えてんだ…!)
ガッと頭を掻いて雑念を振り払うかのように、グラスに半分残った麦酒を一気に煽った。
彼女を初めて見た瞬間、鼓動が高鳴った。
一瞬で、心奪われたのだ。
それに気付かれないように、冷静さを装う自分が恥ずかしかった。
一目惚れだなんて、年甲斐もない。
そう思った。
さすがにセイラがあんな事になった後は、そんな事を考える余裕はなかったけれど。
それでも不用意に顔を近づけられたり、あの大きな瞳で見つめられたりすると体が熱くなり、鼓動が高鳴るのを感じてしまう。


正直、アイシェの申し出は嬉しかった。
彼女の術はかなりの戦力だ。
だが危険なところに飛び込む事が分かっているのに、一緒に連れては行けない。
もう、セイラの二の舞にはさせたくなかった。
これから先、どうなるかは見当がつかない。
そんな先へアイシェを連れて行けない。
すべてはけじめをつけてからだ。






「────セイラ、必ずお前の仇は取ってやる」


ジェイは自分に言い聞かせるかのように強く呟くと、残った麦酒を一気に煽った。





>>To Be Continued



| LOVE PHANTOM 第1章 | 15:09 | comments(0) | - |
スポンサーサイト
| - | 15:09 | - | - |









/PAGES

Others
Mobile
qrcode