RS FANTASY

りくそらたのファンタジー小説おきば。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
LOVE PHANTOM第1章  運命の扉-11-
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

LOVE PAHNTOM第1章 運命の扉-11-

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::



やけに入り口の方が騒がしい。
何やらはやし立てる声と口笛が響く。
男達がギャンブルでも始めたのだろうか。
ジェイはさも興味なさそうに、今夜何杯目になるかわからない麦酒をあおった。
酒が体に染み渡り、心地良さを誘う。
「マスター、酒」
カラになったグラスをカウンター越しの男に差し出した。
「兄ちゃん大丈夫か? 今ので、何杯目だ? そろそろやめておいた方がいいんじゃないのか?」
「いや、今夜は飲みたい気分なんだ」
ジェイは催促するようにグラスを振った。
そんな様子に肩をすくめると、男はグラスにまたなみなみと麦酒を注ぐ。
「あの人だかりは?」
男からグラスを受け取ると、ジェイは入り口をちらりと仰いだ。
「ああ…。女が酒場に入ってきたらしい」
「女? こんな男達の群れる酒場に入ってくるなんて、よっぽどの好き者だな」
「いや、そんな感じじゃねぇなぁ。
娼婦の女っていうよりは、むしろ何も知らずに迷い込んだ世間知らずの娘さんって感じだったが。連れを探してるみたいだぜ?」
ジェイは男の言葉を聞いて、興味のなかった人だかりに視線を泳がせた。
部屋の薄暗い灯りで見えにくい。
よく目を凝らすと、男達の群れに埋もれるようにして見え隠れする小さな頭が見えた。
亜麻色の小さな頭。
     

     
あれは…―――。









ガタガタッ!!
急に立ち上がったので派手な音がして椅子が倒れた。
「どうした? 兄ちゃん」
「あんの、馬鹿っ!!」
ジェイは男の声に耳もかさず、つかつかと人混みに歩み寄った。


男達に取り囲まれるように、小さい体をなおも小さく縮こまらせて少女が立っていた。
この場の雰囲気とは全く似つかわしくない幼い少女。
抜けるような白い肌に大きな翡翠の瞳。
熟れた果実のような唇をきゅっと結び、頬を桜色に染めて下を向く。
あどけなさを残した幼い顔立ちは、酒場にはあまりにも不釣合いだ。
ガラス玉のように澄んだ大きな瞳からは、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。
「何でこんなところに!」
チッと舌を打ち鳴らす。
間違えなくその娘はアイシェだ。
それを確認した瞬間、一気に酔いが覚めた。



「だからよぉ、俺たちと一緒に飲もうって言ってるだけじゃねーか」
「私は連れを探してるの!」
「連れなんか放っておけばいいじゃねーかよぉ」
「でも私、飲めないから……」
「そう言わずに一緒に来いよ。酒の飲み方ぐらい、教えてやるから」
男は嫌がるアイシェの手を無理やり引いた。
「あのっ、でもっ!!」
「そう言わずにさぁ〜」
男はニヤニヤと厭らしい笑顔を振りまきながら、小さな肩を抱く。
「───やっ!」
アイシェは思い切り男を突き飛ばした。
小さな体はその反動でよろめき、その場に弾き出される。
思わず座り込みそうになるのをグッとこらえた。
ここから出たほうがいい。
危険なシグナルが頭の中で鳴り響くのに、男達によって逃げ道を奪われてしまう。
酒場に迷い込んだ小鳥を我が物にしようとじわじわと歩みを寄せる。
こんなところ、ひとりで来るんじゃなかった───。
アイシェは泣きそうな顔でキュッと唇を結んだ。







「あ…っ!」


グイっと。
誰かに腕を掴まれ強引に体を引き寄せられた。
嫌がる体を有無も言わせず自分の側に引き寄せて、その小さな肩を抱く。
「いやぁっ!!」
アイシェが泣きそうな声を上げた。

「なんだあ? お前は!?」
男が荒々しく声を上げた。
ザワリと酒場に動揺の声が広がる。
「悪いけど、他を当たってくれないか」
「!?」
聞き覚えのある声に、アイシェは弾かれたように顔を上げた。
「ジェイ!!」
見上げた男の顔は、アイシェが探していたジェイ本人だ。
知った顔に安堵の表情を浮ばせる。
「何だよてめーは!? 抜け駆けするつもりか?」
「こいつはオレの連れだ」
行くぞ、とジェイはアイシェの背を押して入り口へと促した。
「ちょっと待てや!!」
自分達の見つけた獲物を横取りしようとする男に腹を立てて、男達が怒りに体を震わせる。
「俺達が誘ってんだ。勝手に連れてってんじゃねーよ!!」
「きゃぁっ!」
引き戻そうと手を伸ばす。
「他を当たってくれって言ってるだろ」
その手を軽く払うと、庇うようにアイシェの肩を抱き寄せた。
アイシェが怯えたようにジェイの服をぎゅっと掴む。
その手が小刻みに震えている。
明らかに怯えているのが手に取るようにわかった。
「よそ者がえらそうにしやがって!」
「そんな態度でここから無事に出られると思ってるんじゃねーよな?」
男達が怒りをあらわにして、2人を取り囲んだ。
じわじわと詰め寄ってくる。
力ずくでもアイシェを手に入れようという魂胆だ。

むさ苦しい男しかいない酒場で、女の一人でもいれば酒の盛り上がりも違ってくるだろう。
ましてや幼さを残すものの、アイシェはかなりの美人だ。
我先にとこぞって争うのも分かる。
それを突然割り込んできた男が攫っていこうとしたのだ。
怒り狂っても無理はない。





「ジェイ…」
アイシェが小さく呟いた。
「ごめんなさい、私…」
小さく声を震わせながらジェイを見上げてくる顔は、心底怯えた表情だ。
こんな時に不謹慎だが、たまらなく可愛いと思った。
見上げてくる大きな瞳に、吸い込まれそうになる。
胸の奥をぎゅっと掴まれるような感覚がジェイを襲った。
絶対、こんなならず者のような男達に渡すものかと強く思う。

「いいか、アイシェ。絶対に、オレから離れるな」

不安にすがり付くアイシェを安心させるように声を掛けた。



>>>To Be Continued
| LOVE PHANTOM 第1章 | 15:26 | comments(0) | - |
スポンサーサイト
| - | 15:26 | - | - |









/PAGES

Others
Mobile
qrcode