RS FANTASY

りくそらたのファンタジー小説おきば。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-14-
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

LOVE PAHNTOM第1章 運命の扉-14-

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


ジェイはアイシェの腕を離さないように強く握り、自室へと連れて帰った。
ドアを閉め、ようやくアイシェの手を離す。
「ジェイ?」
心なしかジェイは不機嫌だ。
「ジェ…」
「何であんなところに来たんだ?」
言葉を遮られる。
落ち着いた口調ではあるものの、明らかに怒っている。
「だって…起きたらジェイがいなくて…」
アイシェは申し訳なさそうに目を伏せた。
「酒場は男の集まるところだ。陸の酒場ならまだしも、海の酒場に若い女がひとりで出入りするなんて危険すぎる。それぐらいわかるだろ?」
「でも…」
「これ以上、世話を焼かせないでくれ」
ジェイはため息混じりに呟くと、部屋の隅にある小さな木の椅子にドカッと腰を降ろした。
その言葉にアイシェは小さくごめんなさいと呟いた。
自分のせいで、ジェイに迷惑をかけているのは分かっている。
見ず知らずの自分を助けてくれたばかりか、村まで送ってくれているのだ。
これ以上世話を焼かすなと言いたくなるジェイの気持ちもわかる。
未知の地で、アイシェにとって頼れるのはジェイだけだった。
まだ会って間もない人間をどうしてここまで信用できるのかと言われれば答えに困るけれど、今はジェイを頼るしか方法が思いつかない。
ここでジェイに見捨てられでもしたら、途方に暮れてしまう。
ジェイといるとなぜだか安心した。
その分、姿が見えなくなると不安になってしまうのだ。
攫われたあの時のように、底知れぬ不安と恐怖がアイシェを襲うのだった。
思わずアイシェの瞳から涙がこぼれた。






小さく肩を震わせて涙ぐんでいるアイシェを見て、ジェイはため息をついた。
少し言い過ぎた。
年を聞けば17そこそこだという。
自分とは5つも違うじゃないか。
成人もまだな幼い少女に―――。

男達に囲まれて戸惑うアイシェを見つけたとき、何ともいえぬ気持ちになった。
カッと頭に血が上ったのだ。
何でこんなところに、と。
そして何よりアイシェに群がる男達に腹がたった。
非力で幼い少女相手に何人も。
酒が入っていたということもあってか、無性にイライラした。
その時上った血がまだ下がってない。
そのイライラを発散させることなく、そのままアイシェにぶつけてしまった。
アイシェは目を覚ました時に、自分の姿がなく不安だったのだろう。
真夜中に、ましてやあんな事件の後にひとりにされれば、誰だって不安になる。
今のアイシェが頼れるのは自分だけだというのに。
そもそもこんな事になってしまったのは、眠ってしまえば大丈夫だろうという浅はかな判断からだ。
夜中に目が覚めることも予測して、最初から飲みに行くことを話しておけばこんな事にはならなかったものを。
今回もセイラの件も、自分のせいで危険な目に合わせた。
自分さえ、もう少ししっかりしていれば。
そう思うと余計に腹立たしい。




「ごめん」
ジェイは頭を下げた。
「オレが悪かったのに、アイシェに当たるなんて」
どうかしてた。こんな小さな少女に。
「もう嫌だったんだ、自分の目の前で誰かがどうにかなるのを見るなんて」
その言葉にアイシェがゆっくりと顔を上げた。
男に囲まれたアイシェを見た時に一気に醒めた酔いが、今頃になって回ってきたのだろうか。
頭がガンガンする。
普段なら絶対吐かないような弱音が、口から滑るように出てしまう。
「オレ、かっこわりーよな」
椅子に腰かけたままでうなだれるように頭を落とした。
「…ジェイ…」
「さっきの話はもう、気にしないでくれ。
さ、寝ようぜ。もう断りなしで、どこにも行かないから安心し―――」
フッと自分の足元に影が落ちて、アイシェの小さな足が見えた。
顔を上げようとした瞬間、小さな身体に不意に抱きしめられた。
「…!?」
見上げたジェイの頭を柔らかくアイシェの腕が包む。
まるで母親が小さな子どもを抱きしめるかのように、アイシェはジェイを抱きしめた。






「―――アイシェ…?」

驚いて上げた顔に、アイシェが頬を摺り寄せる。
「お前、なにやって―――」
「ジェイが……泣きそうな顔、してたから……」
「オレが…? ……馬鹿か。泣くかよ」

アイシェの言葉に、思わず苦笑する。


「だって…。ずっと我慢してたんでしょう? ジェイ、セイラさんが亡くなってから、一度も泣いてないから……」
そう言ってなおも強く、アイシェはその胸にジェイを抱きしめる。
柔肌に顔が沈んで苦しいぐらいだ。
「泣いてもいいのに…泣けば、いいのに……」
自分の代わりに泣いているような声がした。
その声に思わず、胸の奥が詰まる。
「オレは、大丈夫だから……」
大丈夫だと言っているのに、アイシェは抱きしめたまま離そうとしない。
それどころか自分の頬をジェイの頭に寄せ、まるで子どもをなだめる母親のようにそっと頭をなでていく。
何度も何度も、優しく穏やかに。
寄せた胸から聞こえてくる波打つ鼓動は、アイシェのものだろうか。
それとも自分の―――。






(…まいったな…)

ジェイはアイシェの胸に抱かれながら、ぼんやりと考えた。
こんなにも心地いいのは、久しぶりだ。
(まあ、いいか。たまにはこういうのも悪くない)
心から安堵できるような柔らかさとぬくもりを全身に感じながら。
「サンキュー」
ジェイはそっと呟いた。





>>To Be Continued



| LOVE PHANTOM 第1章 | 19:42 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 19:42 | - | - |
/PAGES

Others
Mobile
qrcode