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りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PHANTOM第1章   運命の扉-18-
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LOVE PAHNTOM第1章 運命の扉-18-

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こうしてアイシェとエドは街道を通り、トロイの街を抜け、風の渓谷を経由してシュラの村への帰路を取った。
ジェイと違って控えめで気遣い屋のエドは、アイシェの様子を伺いながら休憩を取りつつ、ゆっくりと足を進めてくれる。
嫌味なことは言わない、基本的におっとりした性格だった。
そんな安心した旅を続けながらも、時折ジェイの事が脳裏をよぎる。
ジェイにありがとうもごめんなさいも言えないまま、別れてしまった。
言葉では言い表せないほど、感謝していたのに。
アサシンのアジトから助けてくれたのも、船でここまで連れてきてくれたのもジェイだ。
ジェイがいなかったら今頃、遠い異国の地に売られていたかもしれない。
送って行ってくれると言っていたので、てっきり村までは一緒だと安心していたのだ。
村に着いてからお礼をすればいい。
祖父や村人に元気な顔を見せた後、ジェイに着いて行きたい。
ジェイと一緒に世界を見てみたい。
そう思っていたのに。


「…ジェイの、バカ…」
小さく呟く。
「アイシェ?」
「あ…、ううん。何でもないの」
エドに心配かけないように、アイシェは慌てて笑みを作ってみせた。
「ねぇ、エドガーさん」
「エドでいいよ」
「…じゃぁ、エドさん。いつ、ジェイに頼まれたの? 私を村まで送って行くって…」
「ああ。君たちが船に乗る前…だったかな? ジェイが通信用の鳥を飛ばしてきてね、ちょうど僕はこっちに来ていたから、戻るついでにアイシェを村まで送って行くことになったんだ」
「それじゃぁ…」
最初からジェイはトロイでエドに託して、自分はそのまま北へ向かうつもりだったのだ。
「ジェイはどこへ向かったの?」
「たぶんノースエンドを経由して、島へ渡るつもりじゃないかな」
「ノースエンド?」
聞いたことない名前に首をかしげる。
「気になる?」
「そんなんじゃないけど…」
アイシェはバツが悪そうに下を向いた。
もともと普段のジェイを知っているわけではない。
トレジャーハンターという仕事上、北へ向かうのかもしれない。
でも、アジトも北にあると言っていた。
ジェイが北へ向かう理由がそこにあるとしか思えない。
ひとりで乗り込んで、勝算があるのだろうか。
ラスラの下っ端でさえ、かなりの腕をもつ者ばかりだったのに。
ジェイと別れてから、胸騒ぎがずっと、鳴り止まない。


「やっぱり君は、ジェイの事が気になってしょうがないみたいだね」
エドがクスリと笑った。
「そんなんじゃ、ないってば」
慌てて首を振って否定する。
エドの口ぶりは、どうもジェイとの関係を勘違いしているようだ。
「ま、向こうもまんざらでもなさそうだったけど?」
「何それ…」
「最後まで君の事を気にかけていたからね。あまり他人に執着しないジェイがさ」
「………」
「無茶なこと、してないといいけど」
エドが空を仰ぎながら苦笑した。

ふと。
エドの袖口からのぞく腕のあざに目が止まる。
ひどく赤く爛れた跡。
「エドさん…それ…」
「ああ、これ? ちょっと火傷をしてね」
困ったように肩をすくめながら腕を隠した。
「これでも随分良くなった方なんだけど…あまりきれいなものじゃないから、見ないほうがいいよ」
そう言って苦笑する。
「見せて」
「え?」
「私、治癒術が使えるの」
「君が?」
驚いたようにアイシェを振り返った。
半信半疑な目でまじまじと見つめる。
「少しだけど…。だから…」
「まいったなぁ…」
「え?」
「だって君のような女の子でも使えるのに、僕は全然」
肩をすくめながら、エドが両手を上げた。
「知ってた? 術が使えるのは、神に認められ、愛された人間だけなんだって」
「…神に認められ、愛された…?」
「何かの書物で読んだんだ。世界でもまれな、特別な人間。でも…、同じ神の祝福を受けておきながら、彼女は無残な死に方をしてしまったようだけど」
ドクリと胸が鳴った。



「…彼女って……?」

「―――セイラ。君も一緒にいたんじゃないの?」

忘れたくても忘れられるはずがないその名前に、動悸が早くなる。
思い出すだけで、息が苦しい。
エドは悔しそうに目を伏せた。
「セイラよりも、君やジェイの方が神に愛されていたのかな。神々はより強いものを愛すっていうからね。もっとも僕は術が使えないから、あまり神に愛されていないのかもしれないけど」
「…エドさん……」
「冗談だよ。別に困らせるつもりで言ったんじゃないんだ」
そう言ってエドは笑う。

「そんなに気になるのなら、ジェイを追うかい?」
その言葉にアイシェは弾かれたように顔を上げた。
「でも…」
祖父ガランや村の人たちが心配しているはずだ。
それをそのままにして、追うことはできない。
「じゃぁ、こうしようか? 村を経由してから、陸路を取って北へ向かう。行き先は分かってるから、多少時間の遅れはあるけど、たぶん合流できると思う」
「ほんと?」
「でも、遅れをあまり広げない為に君にも頑張って歩いてもらわないといけなくなるけど。休憩もあまり取れないし、村にも長く滞在できないよ?」
「うん。それでもいいわ」
「そっか。それなら決まりだね」
そう言ってエドは笑う。
「だけど。どうしてそこまでしてジェイを追いかけたいんだい?」
「それは…」
仇を取りたい―――だなんて、口に出して言えなかった。
それはあくまで、自己満足でしかないのかもしれない。




「まあ、深くは聞かないよ」
何かを察したのか、エドはそれ以上聞いては来なかった。
「…ありがとう」
「お礼なんていらないよ。僕自身も、やりたいことをやるんだから」
「え?」
「セイラの仇だよ」
「!!」
「ジェイの行き先はひとつだ。あいつの性格上、このままにしておくことはできないはずから。
僕だって許せない! その為に利用できるものは、何だって利用してやる」
エドは唇を噛み締め、強く拳を握りしめる。
さっきまでの優しい温和な雰囲気とは似ても似つかない表情だ。
全身から怒りを感じられる。
「君は術が使えるんだよね。協力してくれるだろ?」
「エドさん…」
アイシェは強くうなづいた。
「これから長くて過酷な旅になるかもしれないけど、覚悟はできてる?」
「うん」
「じゃあ、行こうか」
そう言ってエドはアイシェを連れて歩き出した。





>>To Be Continued
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