RS FANTASY

りくそらたのファンタジー小説おきば。
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LOVE PAHNTOM第3章 月のない夜-3- 
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第3章 月のない夜-3-

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まだ心の準備が整っていなかった。
どのように謝罪し、どのような言葉を告げれば良いのかこれから考えなくてはと思っていたのに。

ジェイが夜遅くまで何かに没頭しているのは知っていた。
夜更けまで灯された光が消えることがなかったから。
最近ずっと夜中も部屋の灯りが灯っていたのは、このペンダントを細工していたのだろう。
背中を撫でてくれる手が優しい。
そこから伝わってくるジェイのぬくもりが穏やかに心に浸透していく。
それにひどく安心してじわりと視線を上げた。
すぐ側で覗き込む顔と視線がぶつかり、トクンと胸が跳ねた。
自分は謝ってばかりだ、とジェイは言う。
そう言われてみればそうかもしれない。だから感謝の気持ちを素直に唇に乗せて彼に投げかけた。

「…あり…がとう…」

と。
アイシェを見つめていた蒼の瞳が穏やかに細まり、ふっと小さく笑った。
「…やっぱりアイシェは、そうやって笑ってる顔の方がいいな」
優しい声でそう告げられた。
つい先刻もジルに同じ事を言われたのをふと思い出す。
「ジルさんにも、同じこと言われたよ」
「おっさんと一緒かよ…」
心底嫌そうに、けれども優しさを滲ませてジェイが笑った。
それにつられるように笑顔を向ける。
ジェイはそっとアイシェの目じりに溜まった涙を指で拭い、そのままそこに口付けた。

「ジェ……」

ドクリ、と。
それこそ痛いぐらいに心の奥が音を立て、それ以上、言葉が続かなくなった。
ジェイの行動の意味を思考の中で噛み砕き、理解をしようとするのに気持ちが追いつかない。
パチパチと大きな瞳を瞬かせ、言葉にならない声が情けなく唇を動かしていた。
すぐ側で風に揺れる琥珀色の髪が肌をくすぐり、それを意識したとたん、一気に思考が加速した。
急に意識し出した身体がドクドクと鼓動を速める。
アイシェは顔を紅潮させて身を引こうとするが、いつの間にかジェイに捕らわれてしまった体は身動きが取れない。
「ジェ、ジェイ…――っ」
やっとのことで紡がれた言葉があまりにも情けない声で、涙が出そうになった。
同時に強く抱きしめられてジェイの顔がアイシェの髪に沈む。


「アイシェ…、約束してくれ。二度とひとりで行こうとするな」

切なく漏れた言葉の意味を考えることも出来ず、その心苦しさにアイシェは反射的に瞳をぎゅっと閉じた。


「もう、勝手に俺の前からいなくなるな――」


耳元で、そう囁かれる。
その言葉の意味に目頭が熱くなって、アイシェは瞳を歪めた。
もう今度こそ何も考えられなくなって目を閉じる。
心臓が煩くて頭がまっ白で、呼吸が苦しい。
ただ、痛いくらいの抱擁が熱となってアイシェの身体に沁みこんで来る。



―――ジェイの側にいたい。


それは、自分本位な考え方なのだと思っていた。
望んではいけない、と。
これから自分が進むべき道は決して容易なものではないだろう。
行く先も、歩む足元でさえ見えない危うい道。
危険だということは自ずと分かっているだろう。
それでもジェイは側にいてくれるという。
共に歩んでくれる、と。


「…あり…がとう…」

胸の奥から湧き上がる熱い想いを押し込めながら再びそう告げると、そっとジェイの顔が離れて近すぎる位置で瞳がかち合った。
蒼い瞳が優しさを滲ませて細められた。
困ったような、苦笑するような。それでいて優しい無邪気な笑顔。
トクトクと心臓が踊り出し、恥ずかしさのあまり視線を泳がせて顔を逸らしたらその頬にそっと手が伸ばされた。
海風で冷え切った手のひらがやけに冷たく感じる。
いや、自分の頬がひどく火照っているのだろう。
それを意識するとますます頬が紅潮した。その場から逃げ出したくなった。
伸ばされた手に顔を上げられて間近で覗き込まれた。
そのまま指でそっと唇をなぞられてビク、と体が震える。
その全ての動きがスローモーションのように見えて、うまく身体が動かせない自分がひどく恥ずかしい。
そう思うのに視線が外せない。
呆然と、息をするのも忘れてそれを見つめる。
気持ちを落ち着かそうと吸った息がうまくできない。
そんなアイシェの心の動きを感じ取ったのか、ジェイが肩を小さく揺らして笑った。
自分はからかわれているのだ、と。それに気付いた時にはジェイの笑いは、堪えきれないほど大きく膨れ上がり声を漏らして笑っていた。


アイシェは耳まで熱を持つのを感じた。
自分だけ意識して馬鹿みたいだ、と。
真っ赤になって頬を膨らませ、嫌味のひと言でも言ってやろうと唇を開きかけた矢先――。
そのまま強い力で身体が抱き寄せられた。
あ、と思った時には蒼の瞳に自分の姿が映り込んで、そのまま引き寄せられるかのように唇が軽くアイシェのそれに触れた。



「……ジェ」


思わず呟きかけた名前は、最後まで音になってくれなかった。
言葉を続けさせることなくジェイはアイシェの唇を塞いだ。
軽く触れて離れかけた唇をまた引き寄せて、もっと深く口付ける。
海風に当たって冷え切った唇は冷たく乾いており、ほのかに潮の香りがした。
その冷たさと確かな感触に身体が震える。
逃げようとした身体は力では適わず、アイシェの身体はびくともしなかった。
重ねられた唇は冷たいのに、その奥は熱い。
ジェイの熱が唇から流れ込んでくる。
頭の芯がボーとして何も考えられなくなる。
キスの合間に漏れる吐息でさえ絡み取ってしまいそうな深い口づけに、眩暈がして立っているのもやっとだった。



混乱しているのかもしれない。

初めて飛び出した外の世界で助けられて、優しく手を差し伸べられて。
好意を持たないはずがない。
だからこの気持ちは、錯覚なのかもしれない。
そう思うのに、なぜだろう。
純粋に嬉しくて、愛しくて、押し寄せてくる感情に抗うことが出来ない。
ひとりで生きて行こうと決めた時、この気持ちは誰にも知られずにずっと心に秘めていこうと思っていたのに――。


ようやく唇が離れ解放された時には、ずいぶん時間が経ったように思えた。
ひどく間近でかち合った視線に誤魔化すように笑われたのと同時、痛いくらいの力でアイシェは強く強く抱きしめられた。






>>To Be Continued


| LOVE PHANTOM 第3章 | 10:43 | comments(5) | - |
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ジェイw!!!
かぁっこいぃ⌒★

アイシェ羨ましいよぉ・・・
続き気になりますよぉw
ホント、ジレ△粉兇犬任垢諭


続きをまってまぁす☆
| なつみ | 2007/08/25 19:20 |
きゃー*><*
よかったね、ジェイ!(拒絶されずに…←おい
アイシェも素直になれなかっただけで(そら、そうだよな)、
本当は彼の優しさとか、真っすぐさとかに
惹かれていることはすごく伝わっていたので、
これを機に自分の気持ちを整理して欲しいなぁ^^

続き、楽しみにしてます!!
| 史間 | 2007/08/25 22:34 |
★☆★なつみさんへ★☆★
じれじればかりですみません(笑)このもどかし〜い感じの微妙なバランスが好きなので(←おい…っ)ついつい。
ジェイは年齢的にもう少し余裕を持ってほしいのですが、気持ちのままに突っ走ってしまうところがあるので書き手泣かせの男です(涙)ジルの方が随分と書きやすかったり…(笑)あはは。


★☆★史間さんへ★☆★
そうか!ジェイは真っ直ぐなのか!と。
史間さんのコメントを読んで思い直した私です(笑)真っ直ぐさは蒼吾のイメージが強くてかすんでしまうのですが、史間さんの目にはそんな風に映っていてくれたなんて嬉しいなぁ。
ジェイは年齢的に随分と大人なつもりなのですが、どうも感情に突っ走ってしまうところがあるので心配です。このままアイシェを押し倒してしわないか…と(笑)そんなジェイを書くのもたのしいのですが。余裕のない彼の首根っこを掴んで止めるのが大変です(笑)

| りくそらた | 2007/08/26 11:47 |
はじめまして〜
私、前から気になって覗いてたものです☆

この小説とてもスキです!!!!!
ジェイゎカッコイィし、アイシェゎカワイィし、
ジルゎしぶいし〜

めちゃ楽しみに、いつも見ています
この調子で、どん⊇颪い討ださい♪
スミマセンッ((汗 勝手な要望ですが・・・・

これからも頑張ってください
| 那央 | 2007/08/26 20:55 |
★☆★那央さんへ★☆★
はじめまして!コメントをありがとうございます。

あら。前から楽しみに覗いていただけていたなんて嬉しいです。夏休みの間にもう一話ぐらいは…とは思っているものの、タイムリミットはあとわずか(笑)どうなることやらわかりませんが、夏の間にまた覗いてみてくださいね〜♪
ありがとうございました!!
| りくそらた | 2007/08/26 21:48 |









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